2023年5月14日、中国を訪問したロシアのミシュスチン首相は、習近平国家主席と会談した。これは来年、中露国交75周年を迎えるにあたり、両国の戦略的協力関係をさらに発展させる意思を示した場であった。

会談で習主席は、「プーチン大統領と共同で設定した年間2000億ドルの貿易目標を、先月すでに達成した」と述べ、貿易促進を強調した。これは、実際には両国間の貿易水準が予想よりも1年早く達成されたことを意味する。このため習主席は、「来年国交75周年を新たな出発点とし、両国の緊密な政治協力がもたらす相乗効果を継続的に拡大していく必要がある」と表明した。

一方、ミシュスチン首相は、両国間の共同プロジェクトが80件以上に及び、規模は約32兆円に達すると説明した。特に、そのうちの90％以上がドルではなく、人民元とルーブルで決済されていると強調した。これにより、ドル中心の国際金融秩序から脱却し、中露独自の金融体制を構築しようとする意思が垣間見える。

ロシアによるウクライナ侵攻以降、中国とロシアは、米国への牽制を共同で対応し、政治的・経済的に緊密に協力してきた。これは、既存の国際秩序の変革を目指し、中国主導の新たな国際勢力図を形成しようとする試みと解釈されている。

伝統的な同盟国関係ではないが、両国が強国的地位を目指し、相互の利害が一致しているとの評価だ。しかし、ウクライナ戦争の長期化や西側の対ロシア制裁による経済的リスクがあり、今後の協力関係が順調に進むとは限らない見通しだ。