2023年6月13日に放送されたフジテレビの情報番組「イット！」で紹介された、JR飯田橋駅前の「謎の無許可菜園」が、放送後わずか数日の6月17日までに消滅したことが明らかになった。

弁護士ドットコムニュースが現地を訪れた際、放送で紹介されていたトマトとズッキーニはすでに姿を消していた。菜園が造成されていた道路を所有する千代田区は、「区で撤去したわけではない」と明かした。

「変化」に気づいた幼稚園児たちは「トマトなくなっちゃった！」と叫んだ。JR飯田橋駅西口すぐ目の前に位置する「謎の無許可菜園」は、フジテレビの情報番組「イット！」でその存在が知られるようになった。番組のインターネット記事によると、新鮮なミニトマトやズッキーニなどの野菜と花が栽培され、「トマトは自由に収穫してください(*お母さん)」という案内文も貼られていたという。

菜園の持ち主と名乗る女性は、区が管理する場所を利用した栽培について、「ダメかな」 「ダメって言われたらすぐ抜きます」と番組インタビューで答えた。以前はタバコの吸い殻などが落ちていることが多く、街の美化に役立てたいと思い、菜園を管理していたという。

6月17日午後、弁護士ドットコムニュースが現地を訪れた際、みずみずしく実をつけていたミニトマトやズッキーニなどはすでに姿を消し、関係のない植物だけが残っていた。取材中に現場を通りかかった幼稚園児と保護者グループがこの変化に気づき、「トマトなくなっちゃった！」と叫んだ。幼稚園児たちは落ちているミニトマトを見つけ、「1個だけ残ってる！」と喜んでた。この場所を通る人々にとって、菜園は親しみ深い存在だったようだ。

無許可菜園は道路法違反の可能性もある。千代田区道路公園課は取材に「撤去の経緯は把握していない。恐らく報道を見て当人が自ら抜いたのだろう」と、区で撤去したわけではないと答えた。6月13日のテレビ番組で取材を受けるまでは、区も無許可菜園の存在を知らなかったという。区は、「区が管理する道路で植物を栽培する行為は道路法違反に該当すると考えられる。ご遠慮ください」と注意を呼びかけている。しかし、存在を把握しても、区は撤去に乗り出すつもりはなかったという。

千代田区のホームページでは、「公園・道路に関するご意見と回答」を公開している。該当ページでは、住民が公園や道路について寄せた様々な意見と、区の回答を確認できる。例えば、「外濠公園の蜂の巣駆除依頼」、「富士見児童公園の斜面破損の通報」、「外濠公園の雑草駆除依頼」、「公園内喫煙問題」などに対する住民の意見と区の回答が詳細に記載されている。

区は住民の意見を積極的に聞き取り、公園管理に最善を尽くしており、喫煙問題などについては、継続的な管理と改善に努めている。

この事件は、都市空間の活用、緑地空間の重要性、無許可行為に関する法的問題など、様々な社会的な課題を突きつける。今後、これらの問題に対する社会的な合意と制度的な改善が必要と考えられる。