Googleのメッセージ統合戦略 - iMessageとの境界を崩す

Googleは、開発者向けイベント『Google I/O 2023』で、世界中で『Googleメッセージ』の本格展開を発表しました。この発表により、iOSの『iMessage』と競合する構図が形成され、メッセージング市場の再編につながるとみられています。

'Googleメッセージ'は、RCS（Rich Communication Services）規格に対応したサービスです。RCSは、従来のSMSの進化形として期待されてきましたが、グローバルな標準化が進まず、国や通信事業者ごとに独自のサービスを提供する状況でした。そこでGoogleは、世界中の主要な通信事業者と連携し、RCSエコシステムの拡大に尽力してきました。

GoogleのAndroidおよびビジネスコミュニケーション担当ディレクターであるYan Jendryovych氏は、「5年前には、国ごとに相互運用性のないさまざまなRCSバージョンが乱立していましたが、今では世界中どこでも同じプロトコルでグループチャットが可能になりました」と説明しました。

今回、KDDIがGoogleメッセージをAndroidスマートフォンにプリインストールする予定であるため、国内でもGoogleメッセージの本格的な利用が可能になる見込みです。既存の+メッセージサービスと併用できる選択肢が提供されるものとみられています。

Googleメッセージが備える特徴的な機能の1つに、『Photo Picker』機能があります。この機能を利用すると、AIが写真内の対象を自動認識し、自分だけのオリジナル絵文字を作成できます。また、外部のパートナーと連携し、今後も新しいステッカーを継続的に提供していく予定です。

Googleは、LINEのようにステッカーストアを設ける予定はありませんが、国内ユーザーの拡大に伴い、関連機能の追加を検討するとのことです。また、メッセージングにおいてもAI活用を強化し、スパムメッセージの遮断など、ユーザー保護に注力する方針です。

GoogleのAIアシスタント『ジェミニ（Gemini）』を活用し、メッセージ作成時に文章の例を示す『Magic Compose』機能も搭載されます。ジェミニは、相手から送られてきた写真に対して、ユーモアのあるキャプションを作成することもできます。

さらに、Appleは2024年中にiMessageでRCSに対応する予定であると発表しており、これにより、メッセージング市場におけるAndroidとiOSの境界線がなくなる見込みです。これにより、今後、世界中のGoogleメッセージユーザーは、iOSデバイスのユーザーとも円滑なメッセージングが可能になると期待されています。

Googleは、今回のGoogleメッセージの世界展開を通じて、世界中の通信事業者と連携し、メッセージング市場における主導権獲得に拍車をかける計画です。