尖閣諸島をめぐる日中の対立激化

尖閣諸島（センカクショトウ）は沖縄県に属する無人島であり、日本政府は、この島々が歴史的にも国際法上も疑う余地なく日本の固有の領土であると主張しています。しかし、中国政府は、1970年代以降、尖閣諸島周辺に石油が埋蔵されている可能性が指摘されるようになると、この島々が古くから中国の領土であったと主張し始めました。

中国は、古文書や地図に尖閣諸島が記載されていること、地理的に中国本土に近いことを根拠に領有権を主張しています。しかし、中国が他の国よりも先にこれらの島々を発見したという証拠はなく、単に島を発見したとか、近いという理由だけで領有権を主張することはできません。国際法上、領土権原を認められるためには、明確な領有の意思を持って、継続的かつ平和的に領有権を行使してきたことを立証する必要があります。

しかし、これまで中国は、自国が実効的に尖閣諸島を支配してきたという証拠を示していません。むしろ、中国の武力示威が続いているため、日本政府は強く対応しています。日本政府は、2012年9月に尖閣諸島の3つの島（魚釣島、北小島、南小島）の民法上の所有権を民間から国家に移転すると、これを口実に中国海警局所属の船舶が、悪天候時を除き、ほぼ毎日尖閣諸島周辺の接続水域に侵入して航行しています。月に数回、領海に実際に侵入することもあります。

さらに、2021年1月には、中国は海警局の職権と権限を定めた「海警法」を制定しましたが、この法律には、適用海域が不明確であったり、武器使用権限など国際法に反する問題的な規定が含まれています。日本を含む関係国の正当な利益を侵害する可能性があり、懸念される状況です。中国海警船は、尖閣諸島周辺で日本の漁船に近づこうとしたり、大砲を搭載したまま領海に侵入したりするなど、一方的な現状変更の試みを続けています。

日本政府は、尖閣諸島は歴史的にも国際法上も疑う余地のない日本の固有の領土であり、現在、日本が有効に支配しているという立場を堅持しています。したがって、尖閣諸島をめぐる領有権問題自体が存在しないというのが日本の主張です。日本政府は、現場で中国海警船に退去を求め、外交ルートを通じて中国政府に厳重に抗議し、即時退去と再発防止を強く求めています。主張すべき点は主張する一方で、冷静かつ断固として対応していく方針です。