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- 厚生労働省が発表した年金財政検証の結果、高齢者と女性の就業増加などにより年金財政の持続可能性が高まったとの評価が出されたが、若い世代の不安解消のためには制度改革が必要である。
- 政府は、短時間労働者を含む年金加入者の拡大、年金受給年齢の引き上げなどにより年金給付水準を維持しようとしており、企業は70歳まで定年延長など「人生100年時代」に向けた動きを見せている。
- 政府は、シニア層の技術に合わせた処遇をどのように進めるか情報を提供し、企業の自助努力を促進することで、70歳までの就業機会提供を拡大する必要がある。
日本の厚生労働省が3日に発表した公的年金財政検証の結果、高齢者と女性の就業増加などを背景に、年金財政の持続可能性が高まったとの評価が広がっている。しかし、若い世代に広がる年金制度に対する不安感を解消するためには、支持基盤を広げる制度改革が不可欠だ。企業も70歳まで定年延長など、「人生100年時代」に向けた動きを急ピッチで進めているため、政府と民間が連携して新たな制度設計が求められる。
記事と直接的な関連性なし / 出典 : GPT4o
財政検証で最も注目すべき点は、年金支給開始時期に現役世代の実受給所得と比較した場合に、どの程度の金額を受け取れるかを示す「所得代替率」だ。財政検証で計算された4つのシナリオと現状の水準(61.2%)を比較すると、いずれの結果も現状より低い。特に、最近の経済成長に近い過去30年間の予測シナリオでは、現状より10%以上下落する。
政府が年金制度の強化に向けて推進する政策の一つは、短時間労働者まで段階的に拡大することだ。今年10月には、現行の101人以上の企業から51人以上に拡大される。厚生労働省は今回の検証で、段階的に要件を廃止・緩和することで、加入者が増え、給与水準も高まる様子を示した。週10時間以上の勤務を行うすべての労働者まで適用範囲を拡大すると、860万人が新たに厚生年金に加入することになり、過去30年間の予測シナリオでは所得代替率が56.3%に上昇する。
健康なときは働き、年金受給を遅らせる方法も選択肢の一つだ。基礎年金保険料の納付期間を現行の40年から45年に延長すると、所得代替率は57.3%に上昇する。しかし、年金支給開始年齢を延長するには、働く意思のある高齢者の就業を促進する環境整備が必要だ。
明治安田生命保険は、現在65歳の定年を2027年度から70歳に延長する方針で、これが実現すれば、大手金融機関としては初の事例となる。政府の最近の調査結果によると、希望者に70歳までの就業機会を提供する企業は全体の30%に過ぎず、こうした自助努力を促進する取り組みを拡大する必要がある。
政府は、役職定年や定年制度を見直す企業を増やすため、優良事例を集めて公表する方針だ。6月に閣議決定された成長戦略「新しい資本主義実行計画」でも、「能力のある若者が不満を感じないように、シニア層のスキルに見合った待遇をどのように進めるか、情報提供をお願いします」と明記された。シニアの就業は、人手不足解消という側面もある。年金の持続可能性を確保するための制度改革は、人手不足に直面する日本経済の成長にも貢献する。(宮沢文)